タンブラーとチューリップ

ウイスキーを飲む容器によって体験は変わります。

液体の香りを嗅いだり一口すする前にも、ウイスキーを飲むという体験に影響を与える多くの要因が作用し始めます。あなたが飲むウイスキーの箱から、ボトルへ、そして容器が関係します。

ウイスキー、木、錫

ウイスキーの初期の時代、飲み物を入れる容器で最も一般的だったのは木製の”クエイク”でした。クエイクはスコットランド特有のもので2つの平たい取っ手の付いた幅の広い浅い酒盃です。最初は木で作られ初期のものは樽板と環帯が付いており、ちょうど小さいウイスキーの樽のようでした。その後、ピューターや銀などの金属で作られました。

その時期、スコットランドからコーンウォールまでのあらゆる場所の鉱山労働者そしてゴールドラッシュのアメリカさえもウイスキーを飲むのにもっと丈夫なものを必要としていました。造りは粗雑でしたが持ち運びが簡単で錫製のコップが最適な容器になりました。”缶くさい”フレーバーが付くことがありましたが、その弾力性が勝ったことになります。

ガラスの進化

私たちが今使っている飲料用グラスが作られるようになったのは鉛クリスタル発明後の18世紀になってからです。1890年代のグラス製造会社の更なる進歩によって、そのようなグラスはついに広く入手できるようになり価格も手頃になりました。タンブラーが誕生しました。

タンブラーは、初期に作られたものが曲がった底をしていたために、そう呼ばれています。伝説によると、底が曲がっていたため酒場の客が、それを置くことができず飲み物をより早く飲み終えなければならなかったと言われています。現代のウイスキー・タンブラーは底が平らで側面が直線になっており人造の切り込みまたは模様が彫刻されたものが一般的です。このタイプは昔風のグラスと呼ばれることがあります。

大衆文化がタンブラーをウイスキー愛飲家用の最適な容器だと表現する一方で、その機能については異なるストーリーがあります。温められたウイスキーはアロマをより多く放出しますが、タンブラーの厚い底が、あなたの手の熱が液体に達するのを防ぐことができます。悪いことは、大きな開口部と直線的な側面のためにアロマが滞留する場所が無いことです。

ザ・グレンリベットのようなシングルモルトのアロマとフレーバーの両方を十分に味わう時の唯一の究極の形、それはチューリップです。

明らかに革新的

緩やかにカーブしたチューリップ形状は近代的な革新であり、タンブラーとステムグラス(脚の付いたガラス製の飲み物用容器)の要素を結合しました。スニフター(上が狭くなったブランデーグラス)のようなステムグラスは底が広く上部が狭く短かい脚をしています。この形がアロマを頂部の狭い部分に放出する前にグラスの底にアロマを閉じ込めます。安定した脚のベースが液体を旋回させて、香りと味の両方を強化します。

蒸留所で使用される伝統的なノージング・コピータ(シェリーを試飲するためのスペインの伝統的な飲料用容器)をベースにしてウイスキー用に特別に作られたいくつかのタイプのグラスもあります。

ザ・グレンリベットを飲むためにどれを選んだとしても、美的により魅力的な容器がいくつかあります。形、重さ、手触りがウイスキーを飲むことで呼び起こされる体験と感覚にすべて加わります。心の中にでしょうか。おそらくそうでしょう。多分、木と錫について言われている何かがあるのでしょう。しかし、それを判断するのはあなたです。